生きるリアルさの回復のために

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パっとしない人生をどう耐えるか

今頃になって三島由紀夫の自決事件の歴史的意味が分かってきた。今日たまたまYoutunedeで成田悠輔のスピーチを聴いた。今の社会を変える3つの方法として、幼児性と異国性と武士性を挙げていた。前2者は結局社会の外から野次馬のようなことしか言えないのに対して、3番目の武士性は彼自身が取っていると思われる方法で、戦後すぐの渋沢財団がGHQの「アメ」を拒否して自己解体した事例を紹介していた。自分達だけは逃れられたのに、自ら財閥解体に応じた精神が武士性なのである。(A級戦犯のKはアメをもらって政界復帰した、武士性のカケラもない非国民だと思ったがそれはさておき)その武士性は日本人の魂とも言えると思う。そこから類推して三島由紀夫の自決を思ったわけである。成田は「ニコ没」と言っていた。ニコニコと笑って没落するの短縮語なのである。日本社会の内側にあって社会を変える方法として、「ニコ没」を招かれた卒業式の祝辞としてスピーチしていた。三島は笑って没落するだけの余裕がなかったのかもしれない。あの時代には暴力が渦巻いていて、空虚な切迫感があった。今の時代はパっとしない弛緩した空気に包まれている。だから身を引き締める武士性が必要なのだと思う。