生きるリアルさの回復のために

読むことで自分の未来を拓く

前進か、後退か

今日古い自分に戻ったことに気がついた。何だかモヤモヤした軽い不安感がした原因がそこにあったと気づく。ここ数ヶ月のうちにぼくは変化しつつあった。まず主治医が変わった。明るくてスタッフも若いクリニックでしかも自宅から歩いて行ける距離にある。これまでは定年までいた会社の近くで昔からある町医者に通っていた。今日は曇っていたが、雪はほとんど消えていてコートにも雪がなかったので、妻とテニスを1時間した。妻と二人でしたのは数年ぶりかもしれない。それが昔の自分に戻った気がしたもひとつの原因かもしれない。今日みたいな日に屋外でテニスをする人間はいなく、我々しかコートにいなかった。それが幾分沈んだ気分にさせたかもしれない。テニス自体は楽しかったのだが、周りに人がいないというのは何となく寂しい気分にさせる。活気がないというのはリアルさに欠ける。

昨日、ブログに載せたが、ロマン・ロランを思い出していた。ロマン・ロランは本国フランスの文学史には小さくしか扱われていないことを昨日知った。そういえばロランの小説は文学らしくない。でもその世界観は資本主義の価値観と異質で、非ヨーロッパ的でインドやロシアや日本の文化圏と馴染むものを持っていると感じる。いい意味の社会主義初期のヒューマニズムがある。

ロマン・ロランは高校生の時よく読んだ作家だった。だから昔馴染みで古い自分に戻るのかもしれないが、何かこれからの自分が再認識してつかみ直していくべき課題上にある気もする。だから戻るのではなく前進するイメージがある。今の現代人が失っている魂を再生してくれる思想を秘めているような気がする。現代人は自由の中に住んでいて幾分倫理的に堕落する傾向があり、悪の世界を完全には排除できないでいると思う。ロマン・ロランの小説には悪人が登場しなかった気がする。それはやはり21世紀世界を見誤らせる世界かもしれない。そのままではリアルではなく、悪に立ち向かうタフさを身に付けなければ再生できないと思う。現代の作家では、村上春樹だけがロマン・ロランの名前を小説中に出している。それが気になる。

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