生きるリアルさの回復のために

読むことで自分の未来を拓く

Lack is power

人間は欠乏を何かで満たそうと欲望する。私も若い頃は何もない毎日を送っていて、満たされていなかった。食べるものや住むところはまずまず満たされてはいた。希望と呼べるものがなかった。何になりたいか将来に目標となるものがなかった。孤独で平穏ではあったが、寂しかった。今日のように天気のいい日に、犀川の川べりの芝生に寝転がって自分の将来を想ってみたが何も浮かんで来なかった。風が気持ちよかったが想像力はそれに乗って羽ばたかなかった。親しい人や尊敬する人や憧れの人などはまだ知り得なかった。身の回りの大体が所属する人々から疎外されて、なんとはなしに一人になっていた。きっと文学にのめり込み過ぎたからだろう。しかし文学好きな人々からも疎外されていた、田舎もんだった。そうだ、これが私だった。誰からも見放されていた大きな「欠乏」だった。だからこそ、大きな欲望が必要だった。そこで気づけばよかったのだ。大きな人間になれると。