生きるリアルさの回復のために

読むことで自分の未来を拓く

芸術は人生以上のものだ

ぼくは70歳。何を今達成したいと思っているか。何を解決したいと思っているのか。そう問いかけてみることで、少しは現実に何かがあると思えてくる。既に通り過ぎて見えなくなっているけれど、問いかけによって蘇ることがあると思える。昨日月例の読書会があってその中で、作家というのは特殊な存在で常識人からしたら、変な人と言うしかないという意見をぼくがいうと、メンバーの一人が怪訝な顔をした。ぼくにとっては普通のことを述べたに過ぎないのに、その反応は意外だった。変な人と言うのは貶しているのじゃなく、どうしようも無く現実からずれていく存在が表現する人であって、書くことで現実に体と意識を合わせている人種であることはぼくにとっては常識だった。自分と周り全体との噛み合いが、何かを書かせる言わば無限地獄のごとくに漂っているのが表現者の常態だと思う。

とにかく、芸術は人生以上のものだ。言葉以上で言葉に受胎している。それは世界を開き、息をはずませ、大地に眠る。目を開けば謎かけごちに相手を射抜く。世界は近代から現代に曖昧にメタモルフォーゼして、人々は故郷を失った。そこで、再びリアリズムに還る。当たり前が最前線に戻ってくると言うパロディに少し有頂天になる、今日このごろ。