生きるリアルさの回復のために

読むことで自分の未来を拓く

人生で何かを成し遂げるには

人生で何かを成し遂げるには、何かを捨てなければならない。成し遂げられるのは、短いぼくの人生でいくつもない。そして目標は一つに絞られる時、一番実現性が高い。これは動かしがたい真理に思える。一つの実現したい目標は何かを考えることは、自分のこれからの人生に不可欠だと思える。

文学か哲学か、という問いを立ててどちらかを捨てることが、一つに絞る過程に入ることになる。ぼくはこれまで文学の方に多くの時間を割いてきた。それでもピークだったのは、高校1年時だった。ぼくは世界文学全集を読みあさって一時期不登校になり掛かった。

哲学にそれほどのめり込んだことはなかった。しかし大学時代にはマルクス主義に傾倒して、梯明秀哲学に出会って、物質の哲学的概念に魅力を感じた経験がある。物質の自己運動という観念は今もぼくの脳髄にある。どちらを取るかは、どちらに自立の存在可能性が高いかによると思える。別の言い方をすれば、ぼくが何かの達成をもたらす道は、文学か哲学かということを現時点で決めなければぼくの生涯ではほぼ見込みがない、ということだ。

一つの折衷的な妥協的な道がある。それは、哲学を文学的に語る、あるいは文学を哲学するという方法だ。小林秀雄が始め、柄谷行人が極めた道だ。池田晶子小林秀雄の継承を試み哲学をエッセイにした。ぼくは現代の哲学者で全集までではないがかなりまとまった著作集が出ている、加藤尚武氏に最終的に絞ろうと考えている。加藤尚武氏はまだあまり一般には知られていない。加藤尚武氏を小林秀雄的な意味で知り抜くことは、まだ誰もやっていない気がする。研究者にはなれないので、一読者として何かの形で表現できるとしたら存在価値があるかもしれないと思う。だから、それを絞られた、ぼくのただ一つの人生目標にしたい。